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Distortion Life

ゲーム開発者つよがエンタメを思考したら発信するブログ

「パフューム ある人殺しの物語」を観た感想は『ミスター味っこだ!』だった

変態映画を観ました。殆ど前情報を入れずに観たのですが、これがいい効果になりました。あらかじめ「こういう作品なんやろなぁ」と云う印象を持っていない状態だったので、話の転がって行く方向に素直について行くことが出来たわけです。

基本情報

パフューム ある人殺しの物語 [Blu-ray]

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感想

この映画、「素直について行く」ことが出来るかどうかで大きく評価が変わるであろう内容でして、そういう意味で僕は高評価を下す事が出来ました。嫌いな人は(特に女性)、もの凄く嫌悪する作品でしょうか。

 大体の話はというと、こんなあらずじです。

18世紀のフランス、世間がもの凄く臭かった時代が舞台。驚異の嗅覚を持って生まれた男が、底辺の生活から調香師として身を立てる。彼はその才能故に強烈な匂いマニアで、美しい女性の体臭をなんとか香水という形で保存したいと執拗に思い続けている。その方法を探る為の労力を惜しむことはなく、黙々と作業を進めていく。彼に究極の香水ははたして作り出せるのか?

絵が凄まじい

トレーラーなども全然観ていなかったので画面の質を特に想像していなかったのですが、全編を通してめちゃめちゃ絵が格好良くてビックリしました。パリの描写などは重厚かつ醜美のコントラストが絶妙で、スチームパンクの味わいもあります。たぶんCGも多用されているのでしょうが、使い方はあくまでナチュラルなんですね。

 橋上の家屋倒壊シーンは見せ場としてはピックアップされていないもののしっかり作られたシーンでして、おおっ!となりましたよ。DreamWorksがいい仕事してます!

 また、この映画の挑戦は、「匂い」の映像化です。主人公グルヌイユが感じる、赤毛の美女が放つ体臭をどう表現するか。もちろん匂いを映像から感じることは出来ないわけですが、その匂いを嗅ぐ仕草をしつこくアップで追いかけヘンにCGなどでエフェクトを追加しなかったことで、正に匂い立つほどの濃密な映像になっているのです。

 そして実は、良い香りよりも嫌な匂いの映像の方がクオリティが高いのもポイントでしょう。

 もうめちゃめちゃ嫌な映像なのですが何故か美しい。中には思わず目を背ける人もいるんじゃないでしょうか。美しいものも汚いものも、見事な映像で画面に映し出されます。しっかりと演出された汚さは美しいのだなと気づかされました。

変態映画ですよ、これ

グルヌイユが女性の体臭を嗅ぎまくるシーンがあるのですが、これは女性が観るとかなりキツいんやろうなぁと思いました。髪の先から脚まで、匂いを一掬いも残すまいと両手で丁寧に集めながら、時には鼻を思い切り押しつけてスーハースーハーと嗅ぐのです。

 ただこのシーンが実に良くて、この男の異常性が説明もなく理解できる上に実に滑稽で笑えます。「香水」という単語で反応して観てしまった女子には笑い事では済まなそうですけどね。

 今更言うのもなんですが、過度の匂いフェチが主人公の変態映画、というのが正しい見方だと思いますね。更に言うと、もの凄くお金をかけて本気で作った「ミスター味っこ」という側面もあるのです。

現代のミスター味っこ

あのテレ東アニメ。ご存じでしょうかミスター味っこ。映画では周星馳の「食神」なんかでもその演出がモロに使われていますよね。あまりに美味しい料理を食べた瞬間、「うーまーいーぞー!!」等と叫びながら口からレーザー光線をバビューっと発射し、そのまま巨大化して大阪城を破壊したり、激しく回転しながら宇宙まで飛んで行ったりしてしまうアレです。

 「パフューム」は知ってか知らずか(たぶん知らずに)、表現としてはこのミスター味っこの系譜なのです。グルヌイユが作ったオリジナルの香水を嗅いだ瞬間彼の雇い主は、花畑の幻覚に包まれ美しい女性に愛を囁かれつつキスされます。

 完全に味っこです。

 このアタリは丁寧にCGで合成されています。いいねえいいねえ。この辺りで既に馬鹿映画として期待することに切り替えました。そしてそれは大正解でした。

 結末を含め突っ込み所満載ですけども馬鹿映画として楽しめるようになると、そんな些末なことは気にならなくなります。むしろ、余計なことにいちいち気を遣わない良い演出だと思いました。この映画、傑作です。唯一残念なのは、フランス語ではなかったことでしょうか。この変態的な雰囲気は、フランス語を使うことで更に強化されたのになぁ。惜しい!

最後に

ともかく、後半20分で笑う為に是非観てください。オドロキのラストが待っていますよ。オススメです。■■

written by つよ