Distortion Life

ゲーム開発者つよがエンタメを思考したら発信するブログ

「フォース・カインド」を観た感想は『もしかしたら良く出来た作品かもしれない?』だった

ちょっと前に観ました。ブレアウィッチ以降と云われる、いわゆるフェイク・ドキュメンタリーものです。いつもと通りネタバレを気にせず書きますね。

基本情報

THE 4TH KIND フォース・カインド [Blu-ray]

THE 4TH KIND フォース・カインド [Blu-ray]

 

 ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で贈る、究極のハイパー・ショッキング・スリラー

信じられないのは、信じたくないだけなのか?

アラスカ州ノーム。不眠者数300人以上。行方不明者数アラスカ州最多 ―――。

アラスカ州北部の町ノームでは、これまで多数の住民が行方不明になってきた。2000年10月、ノーム在住の心理学者アビゲイル・タイラー博士のもとに、不眠症を訴える住民が次々に訪れる。不審に思ったタイラー博士は、催眠療法で彼らが眠れない理由を解明しようとした。そしてそこでカメラが捕えたのは、これまで誰も目にしたことのない映像だった……。

60年代以降 FBIによる訪問が2000回を超えるというノーム。この映画は、65時間以上に渡る記録映像及び音声の抜粋と、その再現映像とで構成されている。なお、記録映像の一部には、かなり衝撃的な映像が含まれる。

 感想

この手の作品では圧倒的に「クローバー・フィールド」の出来が抜きんでていると思うのですが、予算のかけ方と作品のクオリティが直接的には無関係と云う一発逆転ジャンルでもありますので、くじ引きを引くような感覚で観ることが出来ます。

 さて、この作品はどういったフェイクかと云うと、簡単に言えば「アブダクション」ものですね。UFOによる誘拐事件をアブダクション(第四種接近遭遇=The 4th Kind)と呼ぶのだそうです。

 なるほどね、確かに昔からそういう事例や報告は腐って塵になって消えてなくなるほどあるらしいので、題材としては突拍子もないものでもないんでしょう。

 この作品が踏み込んだ手法としましては、ドキュメンタリー(フェイク)&再現ドラマという構成を持ってきたところですね。再現ドラマパートをあえて有名女優のミラ・ジョヴォヴィッチに演じさせしっかり演出して撮る事で、ドキュメンタリー映像パートが持つ質感の悪さやカメラワークの無茶苦茶ぶりを強調すると云う試みは悪くないと思いました。

 確かに突然ライティングもカメラポジションも素人くさい映像が差し挟まれると、なんだかリアルな世界を見せられた気分で入って行けます。

物語の骨子 

ストーリー自体はこれもまた例に漏れず、ほぼ未解決のまま観客に解釈を委ねるケース。「真実にオチなど無い」というオチ自体が、フェイク・ドキュメンタリーとしての性質ですし、まあ予想はしていました。

 ただ、この物語は、素直にアブダクションもののフェイクとして観るとあまりにつまらなく、と云うかあまりにストレート過ぎてどこにもフックが無いように感じられます。

 たぶんこの作品は「アブダクションもの」ではなくて「神経症患者の妄想もの」としてみるのが正解なんでしょうね。

 そう観れば違った角度でまあまあ楽しめる事に気付きました。そう云う意味で作品の構造は入れ子になっていて、アブダクションものの体裁を巧みに表現しようとしているかのように、フェイク・ドキュメンタリーと再現ドラマの2段仕立ての仕掛けで観客を誘導しているフリをして、実はそこに引っかかるか否かは表層のテーマに過ぎず、作品としての前提をひっくり返して解釈すると実は別の物語(アブダクションでもなんでもなく只の神経症患者の虚言)だったのだよ、という形。

最後に

全ては妄想に過ぎなかったというオチ(仮にそうだったとして)はとりたてて目新しくはないのに、そのプロセスに絡めとられて観客はつい別のストーリーを追いかけてしまうと云う仕掛けだったとするなら、良く考えられているシナリオです。

 買いかぶりかもしれれせんけどね。でも、そうでないとするならこの作品は、たった3回驚かされるだけの凡庸な映画になってしまうのです。■■

written by つよ